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■■■火垂るの墓 ■■■
『火垂るの墓』 (Grave of the FireFlies)

1988年製作・公開、日本映画。
監督・脚本 : 高畑勲
原作 : 野坂昭如
作画監督・キャラクターデザイン : 近藤喜文
美術監督 : 山本二三
音響監督 : 浦上靖夫
音楽 : 間宮芳生
制作 : スタジオジブリ


『火垂るの墓』(ほたるのはか)は、同名の野坂昭如による小説をアニメ化した作品。1945年の兵庫県神戸市近郊を舞台とし、親を亡くした幼い兄妹が終戦前後の混乱の中を必死で生き抜こうとするが、その思いも叶わず悲劇的な死を迎えていく姿を描いた。ストーリーは原作をほぼ忠実になぞっているが、後半部分の演出、特に節子の死のシーンの描写などはアニメオリジナルである。

挿入歌としてアメリータ・ガリ・クルチの「埴生の宿(原題:Home, Sweet Home)」が使われた。英語版タイトルは「Grave of the Fireflies」。


Grave of the Fireflies Japanese trailer by YouTube!



4歳と14歳で、生きようと思った。

キャスト :
 清太(辰巳努)
 節子(白石綾乃)
 清太・節子の母(志乃原良子)
 西宮の小母さん(山口朱美)


<あらすじ>

1945年9月21日、終戦を迎えたばかりの省線三ノ宮駅構内で、清太は1人、衰弱死した。清太が持っていたものは、錆びたドロップ缶1つだけ。駅員がドロップ缶を見つけ、無造作に草むらへ放り投げる。地面に落ちた缶からこぼれ落ちた遺骨のまわりに蛍がひとしきり飛び交い、やがて静まる。

(以下、ネタバレ注意!)
太平洋戦争末期の神戸は、連日、B29の空襲に見舞われていた。その混乱のさなか、兵庫県御影町(現在の神戸市東灘区)に住んでいた4歳の節子とその兄である14歳の清太は、母と別れ別れに。非常時の集合場所となっていた国民学校で再会はするが、その時既に母は危篤状態で、まもなく息絶えてしまった。そのため、空襲で家も失った兄妹は、父の従兄弟の未亡人である西宮市の親戚の家に身を寄せることになる。

しかし、初めはうまくいっていた共同生活も、生活が苦しくなるとしこりが出てきた。元々、兄妹と直接の血の繋がりはない、小母である。学校へ行かず、防火訓練にも参加しないでぶらぶら遊んでいる2人は次第に疎ましい存在となり、あからさまに邪険に扱うようになった。清太は息苦しい毎日に嫌気が差し、節子を連れて小母の家を出て、近くの池のほとりにある防空壕の中で暮らし始めた。こうして兄妹は水入らずで、貧しくとも楽しい生活を送れるようになった。しかし、楽しい生活も束の間、配給が途切れがちになると、情報や近所付き合いもないため、思うように食料が得られず、清太は畑泥棒までやるようになった。そしてある晩、清太は畑に忍び込んだところを見つかり、農夫にさんざん殴られたあげく、警察につき出されてしまう。すぐに釈放されたものの、その間にも幼い節子の体は、栄養失調で弱っていっていた。

清太は空襲に紛れて盗んだ野菜でスープを作り、節子に飲ませたが、節子は弱る一方。ある日、川辺でぐったりしていた節子を、清太は医者に診せたが、「薬では治らない。滋養をつけなさい。」と言われただけだった。昭和20年の夏、日本はようやく終戦を迎えた。清太は銀行からおろした金で食糧を買い、節子におかゆとスイカを食べさせようとするが、もう幼い妹には食べ物を口にする力もなく…節子は終戦の7日後に、短い生涯を閉じた。節子を荼毘に付した後、清太は防空壕を後にしたが、彼もまた栄養失調にかかっていて、やがてくる死を待つだけの状態だった。


<『火垂るの墓』の背景>

『火垂るの墓』は、原作者である野坂昭如の「実体験」が色濃く反映された、半ば自伝的な要素を含む小説である。6月5日の神戸大空襲により自宅や家族を失ったことや、焼け跡から食料を掘り出して西宮まで運んだこと、美しい蛍の思い出などはすべて作者の実際の経験に基づくものである。また野坂は戦中から戦後にかけて二人の妹(野坂自身も妹も養子であったため、血の繋がりはない)を相次いで亡くしており、死んだ妹を自ら荼毘に付したことがあるのも事実である。しかしながら西宮の親戚の家に滞在していた当時の野坂はその家の美しい娘に夢中であり、幼い妹(物語とは異なりまだ1歳で、後に疎開先の福井で亡くなった)のことなどあまり気にかけることなく、中学生らしい淡い初恋に心をときめかせていたという。また食糧事情は悪かったものの、小説のようなひどい扱いは実際には受けておらず、家を出て防空壕で生活したという事実もない。

野坂は、まだ生活に余裕があった時期に病気で亡くなった上の妹には兄としてそれなりの愛情を注いでいたものの、家や家族を失い、自分が面倒をみなくてはならなくなった下の妹のことはどちらかといえば疎ましく感じていたと認めており、泣き止ませるために頭を叩いて脳震盪を起こさせたこともあったという。西宮から福井に移り、さらに食糧事情が厳しくなってからはろくに食べ物も与えず、その結果として、やせ衰えて骨と皮だけになった妹は誰にも看取られることなく餓死している。

こうした事情から、かつては自分もそうであった妹思いのよき兄を主人公に設定し、平和だった時代の上の妹との思い出を交えながら、下の妹へのせめてもの贖罪と鎮魂の思いを込めてこの作品を著したのだろう。その意味では二人を冷たく突き放した親戚の小母もまた、自分が生き抜くことだけで精一杯で妹を死なせてしまったという野坂自身の悔恨が投影された姿であると言えるのかもしれない。


<『火垂るの墓』の舞台>

・ 国鉄三ノ宮駅(JR三ノ宮駅)

昭和20年9月21日夜、僕は死んだ…。このセリフから始まる、火垂るの墓の最初のシーンの舞台となっているのが、国鉄三ノ宮駅。現在の三ノ宮駅は、昭和56年(1981年)のポートアイランド博覧会に併せて行われた改修工事によって、だいぶ様変わりしたが、駅のコンコースの天上や円柱は昭和初期のままの雰囲気が残されている。この円柱にもたれかかったまま、誰に看取られることもなく、清太は逝った。

・ 武庫郡御影町上中・上西(御影本町6丁目・8丁目付近)

空襲で焼け出されるまで、清太・節子一家が住んでいたとされるのは、当時の武庫郡御影町上中・上西で、これは現在の神戸市東灘区御影本町6丁目・8丁目にあたる。とは言え、この地域は戦災で消失した後、95年の阪神大震災でも大きな被害の出た地域なので、昔を偲ばせるものは何もない。地名も昭和40年代に現在のものに変更され、今では交差点にその名を留めるのみになっている。

・ 御影町立御影国民学校(神戸市立御影小学校)

公会堂裏で警防団の男性が「国民学校へ集合してください」と呼びかけていたが、その「国民学校」と言うのが、当時の御影町立御影国民学校であり、現在の神戸市立御影小学校。空襲のあと、清太と節子は救護所になっていたこの国民学校で、変わり果てた姿の母と対面する。なお、物語の「設定」としての国民学校のモデルは御影小学校だが、アニメ作品の「絵」としてのモデルになったのは、隣町の成徳小学校の旧校舎である。

・ 阪神国道(国道2号線)
西宮の小母さんの家に世話になることになった清太と節子が、自宅の庭に埋めていた食料を掘り出し、周囲が焼け野原になった広い道をリヤカーを引いて歩くが、それが阪神国道である。

・ ニテコ池

西宮の小母さんの家の近くにある池とは、満池谷の北にあるニテコ池のこと。近所でお風呂をいただいたあと、清太と節子は池に立ち寄り、たくさんのホタルに見とれる。しかし空襲警報が鳴った途端、池の横穴(防空壕)へ逃げ込む清太に、叔母さんは「そんなに命が惜しいのやったら横穴に住んどったらええのに。」…と冷たい罵声を浴びせる。そしてその言葉のまま、小母の家を出た清太たちは、ここで2人だけの生活を始めた。



参考 : 
Wikipedia 「火垂るの墓」
火垂るの墓の舞台を訪ねる

関連 :
火垂るの墓』に対する最も参考になる米Amazonレビュー
外人のアニメ批評を批評するブログ:火垂るの墓の感想

http://warfilm.blog52.fc2.com/blog-entry-10.html ▲ 関連:0 感想:0

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